現在、稼働しているクラウドゲームサービスはまだ多くはないものの、大手企業からの新しいサービスが次々と発表されています。ここで紹介する新しいサービスはどれも2020年に本格サービスを開始する流れになっており、クラウドゲーム市場にとっては2020年は転換点となる年になりそうです。
そこで、この記事では主要なクラウドゲームサービスと、現状を踏まえたおすすめのクラウドゲームサービスについてご紹介いたします。既にプレイしている人も、そうでない人もぜひ参考にしてみてください。
目次
主要なクラウドゲームサービス
PlayStation Now
PlayStation Now(プレイステーションナウ)はソニーが運営するクラウドゲームサービスで、クラウド環境にある多くのPS4やPS3のタイトルをストリーミングでプレイする事が出来ます。
・プレイする事が出来るゲームソフトはこちらのソニーの公式HPから確認が出来ます。
ちなみに、この記事執筆時点(2020年3月)で取り上げているクラウドゲームサービスの中で唯一すでにサービスを開始しており(Stadiaは日本対応していないため除いています)、先日のSTADIAのリリースに先駆けて料金を下げたことでも話題になりました。
対応機器は少ないものの、PlayStationというプラットフォームをベースにしているためラインナップは現行のクラウドゲームサービスの中でも最多です。またPlayStaition Nowはクラウドゲームサービスと言いつつも、実はPS4であれば一部のソフトはダウンロードすることも可能です。
どうしてもまだまだ課題の残る技術であるため、クラウドだけでしか遊べないとなるとゲームを最大限味わえない可能性もあります。その点、同じ料金体系の中でダウンロードも可能という柔軟さは、ユーザーとしては非常にありがたい仕様です。
なお、PlayStation Nowを使用するために必要な利用権カードはクレジットカードが必要になりますが、公式Storeから購入ができ、ヨドバシカメラやヤマダ電機、ビックカメラ、エディオン、ノジマなど大手の家電量販店やTSUTAYAやGEOなどでも取り扱いがあります。他ではオンラインの楽天ブックスでも取り扱っています。
運営 | ソニー・インタラクティブ・エンタテインメント(SIE) |
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対応機器 | PS4、Windows PC |
ラインナップ | PS4及びPS3のソフト |
料金 | 1ヶ月1,180円、3ヶ月2,980円、12ヶ月6,980円 (※2020年3月25日時点) |
コントローラー | PS4ではDUALSHOCK4、PCではDUALSHOCK4(優先もしくは無線アダプター使用)とDUALSHOCK3(有線) |
STADIA
STADIAはGoogleが運営するクラウドゲームサービスで、日本を含まない14ヶ国でサービスが開始したばかりです。
現在はベータに近いもので、タイトルの充実や課題などの解消などサービスが充実していくのは2020年以降になると見られています。日本でのサービス開始日はまだ発表されていません。
STADIAは運営するGoogle社の保有する圧倒的なデータセンターの規模や展開範囲により、クラウドゲーム最大の課題である通信遅延を解決してくれるのではないかと期待されています。
また、無限の処理性能とも称賛されるサーバのスペックにより、今まで実現できなかったようなゲームも実現可能になると言われています。
またYouTubeを基盤としたコミュニケーション機能も充実しており、単にクラウドでゲームが出来るというだけではなく、ゲームによる新しいコミュニケーションの形も期待出来ます。ですが、STADIAの中で個人的に一番大きい点としては世界屈指の企業の持つ資金力とそれを実現している技術力の高さが挙げられます。先日Googleは米国内に新しい開発拠点の開設を発表しましたが、ゲーム領域に力を入れていることは間違いないでしょう。
特に近年では、Netflixのようにコンテンツに多額の資金を投下して魅力的なプラットフォームを作り上げる動きがあります。その点Googleの持つ資金力は大きなアドバンテージになるため、STADIAがどういった発展をしていくか注目したいところです。日本でのサービス開始を待ちましょう。
運営 | |
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対応機器 | Google Chrome(スマートフォン、タブレット、パソコン)、Chromecast |
ラインナップ | ローンチタイトル22本 |
料金 | 月額9.99ドル(いくつかの無料ソフト及び割引購入)、2020年より無料プラン開始予定(ソフトは購入) |
コントローラー | 専用コントローラー、USBコントローラー |
GeForce NOW Powered by SoftBank
GeForce NOWはNVIDIAのクラウドゲームサービスで、日本ではSoftBankとKDDIが提供します。
北米や欧州では長らくベータテストを行っていましたが、本格サービスに向けて日本でも2019年12月中旬からベータテストが始まっており、2020年3月時点では事前登録の受付を行っています。※正式なサービス開始時期は2020年6月に決定しました。
他のサービスとの一番の違いは、あくまでクラウド上のプレイ環境を貸し出すというスタンスであるという点です。
ユーザーは借りたクラウド上のパソコンにゲームをインストールし、遠隔で遊ぶことが出来ます。
インストールするためのゲームは月額とは別に購入する必要がありますが、SteamやEpic gameストアといった既存のデジタルゲームストアで購入したものが使えます。
また、セーブデータも引き継ぐことが可能で、家ではゲーミングPCで、外ではGeForce NOWでという風に双方向で続きを遊ぶことが出来ます。
気軽にインストールなしですぐ遊べるといったクラウドゲームの特徴はないものの、買い直しの必要がなく、もしサービスが終了してしまっても手元に残るものがあるというのは他のサービスにはない特徴です。
高価なゲーミングPCですでに遊んでいる方にとってはすでに購入したゲームが外でも出来るようになり、ゲーミングPCを持っていないという方にとっては安価に高スペックを要求するゲームが遊べるようになります。
NVIDIAとしては完全にクラウド化するわけではなく、気軽にクラウド上で遊んでもらい、更に上質な体験を求める方にはゲーミングPCを購入してもらうという流れを想定しているようです。この辺りはGPUを長年手掛けている会社の矜持とも言えるのかもしれません。
運営 | SoftBank/KDDI |
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対応機器 | android、パソコン(Windows、Mac) |
ラインナップ | SteamやEpic Gamesストアで購入したゲーム |
料金 | 月額1,800円(税抜) ※ゲームタイトルは個別にゲームストアで購入する必要あり |
コントローラー | 各種コントローラー、Bluetooth対応コントローラー(android) |
xCloud
xCloudは米Microsoft社が運営・提供するクラウドゲームサービスです。
一部地域(イギリス、韓国、米国)ではプレビューが始まっており、日本でも2020年にプレビューが開始する予定です。
本格サービスの開始も2020年内に予定されています。
xCloudではXbox系のゲームを調整なしでクラウドゲームとして遊べるように出来るとのことで、デベロッパの許可さえ得られれば全てのXbox系のゲームが遊べるようになる可能性があります。
また、対応機器やデバイスも出来る限り増やしていく方針であり、Windows PCやDUALSHOCK4への対応予定が発表されています。
発表されてはいないものの、Xbox OneやProject Scarlett(Xbox次世代機)への対応もされる可能性が高いと考えられます。
コントローラーに関してはBluetoothコントローラーに対応する他、スマホでのボタンのレイアウトをデベロッパが自由にレイアウトすることが可能だとアナウンスされています。
ゲームによって要らないボタンや邪魔な配置などがあると思いますが、そういったものを最適に調整することが可能なため、スマホ単体でのゲームプレイにおける快適性の向上が期待されます。
xCloudはXboxを持っていなくてもXbox系のゲームが遊べるため、Xboxのシェアが低い日本では特に有用性が発揮されるはずです。
運営 | Microsoft |
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対応機器 | android、Windows PC |
ラインナップ | XBOX系のソフト50本以上 |
料金 | 不明 |
コントローラー | Bluetoothコントローラー |
おすすめのクラウドゲームサービス
ここまで紹介した中でも、一番期待出来ると感じているサービスは「GeForce NOW」です。とにかくソフトを買いなおす必要がないというのが大きなメリットではありますが、ローカルでもクラウドでも同じゲームの続きが出来るという点もかなり重要です。
私見も多分にありますが、今後クラウド化が進んでもローカルでのゲームがなくなることはない、もしくはかなり先だと思っています。
理由としては次世代通信規格の5Gに代表されるように通信環境が整備されていくことで、通信遅延はかなり改善される事が予想され、次世代ゲーム機の可能性も向上するからです。特に今後、処理遅延は大きく低減されるでしょうし、高画質化に関して言えば8Kのサポートが予告されていたりもします。
一方でクラウドゲームのようにサーバで処理するとはいえ画質が上がればストリーミングも重くなりますし、フラッグシップ機のような高性能の端末ではなく、低いスペックの端末ではハード側でどこまで処理が出来るのかという問題もあります。また綺麗な映像を大きな画面で見ながらプレーしたいというニーズも少なくないはずです。GeForce NOWではクラウド環境でも行えますが、高額な機材を買う事を厭わない方など、ユーザーの環境によってはクラウド化を特に必要としていないというようなケースもあります。
以上の点を踏まえると、気軽に遊べるクラウドゲームとリッチな体験が出来るローカルゲームの2つの柱を持っていることが重要だと考えられます。GeForce NOWはその2つの柱を最も関連付けて扱っています。
とはいえユーザーにとって一番重要なのは、どのクラウドゲームサービスが良いのかではなく遊びたいゲームがあるかどうかです。そういったことも含め、ユーザーの需要を満たし存続していくサービスはどれなのか注視していきましょう。またクラウドゲームの分野はGoogleが開発しているStadiaに代表されるようにそれまでのゲーム開発企業だけではなく、大手IT企業も虎視眈々と参入を狙っているものと見られています。大手のIT企業は体力があり、開発力も高いためどのようなプラットフォームをリリースしてくるかは注目です。今のところはAmazonが参入するのではないか、いやいやNetflixが登場しているなど噂は尽きませんが、実際に発表されたら業界にどういった変化が生まれるかが楽しみな所です。