クラウドゲームの仕組み
クラウドゲームの仕組みから見えてくるメリットとデメリット。ダイスはゲーム・VR・AR・仮想通貨・トレーディング・カジノ・IRなど私たちの生活にも広がり始めている仮想空間・仮想現実に関する最新ニュースを提供致します。

2019年にGoogleがStadiaを発表してから、ゲーム業界だけではなく、IT業界からも一気に注目を集めるようになったクラウドゲーム(英:Cloud gaming)にはゲーム体験の未来を感じさせる大きな可能性がありますが、同時に現時点ではいくつかの不安要素も抱えています。ここではクラウドゲームの仕組みと、そこから見えてくるメリット、デメリットを説明させていたします。クラウドゲームとはどういったものか、その大枠を理解頂くための参考になれば幸いです。

クラウドゲームの仕組み

クラウドゲームの仕組み

クラウドゲームは仕組みとしては単純です。

一般的なゲームはモニターからゲーム機、ゲーム機からコントローラーと繋がっていて、コントローラーを操作することでゲーム機がコントローラーから入力された情報を処理して、モニターへ映し出すという構造・流れになっています。この構造の中の「ゲーム機部分」のみがクラウド上(外部環境)にあるといったイメージです。

クライアント(コントローラーとモニターを持つユーザー)が処理を要求し、サーバ(サービス提供側の処理装置)が処理結果を返すというこのモデルを「クライアントサーバモデル」といいます。クラウドゲームの仕組みはオンラインゲームとよく似ていますが、大きな違いもあります。クラウドゲームの特徴を理解していただくためにも、現状としてのオンラインゲームの仕組みも説明いたします。

オンラインゲームとの違い

オンラインゲームとの違い

クライアントサーバモデルはオンラインゲームでもよく使われていますが、全ての処理を外部のサーバで行うクラウドゲームとは異なります。オンラインゲームのサーバでは主に数値やコマンドといった最低限の処理を行って、クライアント側(ユーザー側)で映像描画やエフェクトといった処理をします。こうした処理を行う理由としては大きいデータを送るとそれだけラグが大きくなることに繋がるためそういった工夫をしていますが、一連の処理をスムーズに行うためにはクライアント側にもハイスペックなゲーム機(またはPCなど)が必要になります。

また、オンラインゲームにはP2Pという通信方式もあります。こちらはクライアント同士が直接繋がる方式で、対戦格闘ゲームなどでよく使われています。
特徴として中継サーバを介さないのでラグの少ない通信が可能ですが、多人数が参加するゲームでは逆に通信の安定性が低く、余り向いていません。

クラウドゲームのメリット

クラウドゲームのメリット

ゲーム機もソフトも必要ない

クラウドゲームではサーバ側で全ての処理を行うため、私たちユーザーはゲーム機本体もソフトも用意する必要がありません。そのため、今までのようにプレイしたいゲームのタイトルに合わせて対応するゲーム機をいくつも買う必要がなく、ゲームを遊ぶためのハードルがグッと下がります。

また、ゲーム機自体が無いということはゲームソフト制作者にとっても制約が無い事を意味します。これにより今まで「ゲーム機の性能の範囲内で動くもの」を作らなければいけなかったのが、容量も処理性能も気にせずに思いのまま作ることが出来るようになります。(もちろんコスト的な面は気にしなければなりませんが)

高画質なゲームを端末問わずに遊べる

クラウドゲームではクライアント側の端末がすることはストリーミング再生のみで、実際の処理はサーバで行うため高画質でハイスペックなゲームを端末問わずに遊ぶことが出来ます。技術的にはインターネットに繋がってさえいれば、あらゆる端末で遊ぶことが可能です。

また、同じサービスであれば端末を跨いで遊ぶことも出来ます。家ではパソコンで遊び、外では同じゲームの続きをスマホで遊ぶといったことも可能です。例えば通勤・通学の合間にプレイしたりと待ち時間でも家の続きが可能です。アプリゲームの場合は、もともとスマホなどで遊ぶことができましたが、クラウドゲームの場合はアプリでは収まりきらない内容のゲームをスマホを通じてプレイできるのが特徴です。

インストールの必要がない

最近はダウンロードソフトだけでなくパッケージソフトでもインストールが必要なことが多く、遊ぼうと思ってもインストールの完了までの手続きやそれにかかる時間など、しばらく待ち時間が出来てしまうこと少なくありません。一連の手続きが面倒くさくなって離脱する事も多いです。

クラウドゲームはこの点についても解消することが可能です。クラウドゲームではクライアント側(ユーザー側)にゲームデータが必要ないため、インストールなしですぐにゲームを開始することが出来ます。また、スマホなど小型の端末におけるデータ容量を気にする必要もありません。インストールが関係なくなることで特定のゲーム機、特定の端末という考えから離れることが出来るようになります。

チートが出来ない

クラウドゲームではゲームデータがクライアント側にないため、物理的にゲームデータの改ざんなど、不正なチート(改造)を防ぐことが出来ます。今後オンラインゲームがクラウドゲームとして配信されるようになれば、チートの被害にあうこともなくなります。この点は逆に言えばチート行為を行っていた方にとっては納得のいかない形になるかと思われます。ただし、大多数のユーザーがそうであるように、ゲームにおける健全化という意味ではクラウドゲームは大きく前進することになります。

クラウドゲームのデメリット

クラウドゲームのデメリット

クラウドゲームにおける遅延

オンラインゲームでもそうですが、クラウドゲームにも遅延が発生します。
特に対戦格闘ゲームでは、ほんの少しの遅延が勝敗に大きく影響するため、従来のオンラインゲームではP2P技術を活用してキー操作のデータのみを送ることによって遅延を少なくしていました。
ところがクラウドゲームでは全てをサーバで処理するため、サーバの状況によりますが致命的な遅延が発生する可能性があります。例えば、対戦中にゲームが急に止まり繋がった際には勝負は決定していた、等です。

また、オフラインゲームではモニター関係の遅延しかありませんでしたが、クラウドゲームではそういった1人用のジャンルのゲームでも回線による遅延が発生する可能性があります。
遅延を少なくするためには自前でも安定した回線を用意する必要があるため、気軽に遊べるように思えてもゲームを楽しむための環境にはそれなりに気を遣う必要があります。
有線の回線を利用していれば基本的には影響は無いものと思われますが、クラウドゲームの利点の一つである、どんな端末でも、どんな場所でも、というのは無線の場合、環境(状態等)は少なからず気にする必要があるでしょう。

画質

クラウドゲームはゲーム機の制約を受けずにサーバ次第でいくらでも高画質に出来るはずではありますが、ストリーミングの画質を上げると回線への負荷がかかったり、遅延が大きくなったりといった問題が生じる可能性があります。そのため、実際に体験出来る画質はPS4やゲーミングPCに劣る可能性があります。
これは前項の遅延問題と重複し、有線の場合は余程大きな処理でなければ気にする必要はないと思われますが、無線の場合は注意が必要です。

但し、無線環境として次世代の規格である5Gの設備が現在進んでおりますので、時間の経過と共に環境が整っていき、結果的にクラウドゲームの可能性は今後増して行くのではないでしょうか。

サーバが落ちた場合やオフラインでは遊べない

クラウドゲームは常にオンラインで遊ぶため、サーバが落ちてしまった場合やオフラインの状態では遊べません。
特にクラウドゲームのサーバは全ての処理を行うため、どうしても負荷がかかります。同時にアクセスする人数が多ければ多いほど負荷が大きくなるため、人気のゲームであればそれだけサービス提供側の対策が必要になります。ただし現在、主力サービスと見られているGoogleのStadiaを始め、プラットフォームはどこも世界のIT大手企業のため、対応力も大きいと思われますので、そこまで気にする必要は無いかもしれません。

手元にパッケージやデータが残らない

ゲーム機やゲームソフトを買わなくてもいいという点はメリットでもありますが、逆にとらえるとサービスが終了してしまうと何も残りません。従来であれば生産終了してしまったものでも持っていれば遊べましたが、クラウドゲームではそういうことが出来なくなります。

この点は特に中古のゲーム機やソフトの売買を媒介することで売り上げを得ていた業者などは流通しなくなるため、クラウドゲームが主流になった場合は大きな影響が出ると思われます。

MODが入れられない

これはパソコンでゲームをやる人に限られますが、MODという改造データを導入することが出来ません。
これは不正なチートが出来ないことと表裏一体でもありますが、パソコンゲーム界隈ではMODを楽しむユーザーも多く、そういった層には大きなデメリットとして感じられるはずです。

クラウドゲームの今後

多くの問題を抱えていることは否めませんが、大手のサービスが開始され競争が激しくなる中で重要な快適性に関しては改善されていくことが期待出来ます。特に現時点ではプラットフォーム競争の段階ですので、巨大な企業が多くのコストをかけて改善を図っていくフェーズです。そのため当初ダメだと感じたとしても日を追うごとに良くなってくるという事は十分に考えられます。

ゲームや音楽のダウンロード販売に関しても当初は否定的な見方をされていましたが、今となっては当たり前のように受け入れられています。
ゲーム業界において、まだまだダウンロード派は少数派だと思いますが、それでも、それぞれの購入方法のメリット・デメリットを考慮して少しづつ住み分けが出来ているように感じます。

全ての問題が解決出来るわけではないと思いますが、クラウドゲームならではのメリットも多くあります。
当面は今のゲームの遊び方と完全に置き換わるのではなく、ゲームの一つの遊び方として定着し、住み分けていくのではないかと思います。
皆さんにとって最適な遊び方が何か、それぞれのサービスを試してみながら考えていっていただけたらと思います。

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