コロナウイルスの大流行により、需要が急増したのは任天堂だ。NPDグループの市場調査によると、人気コンソール「スイッチ(Switch)」の020年3月の売上は前年同月比2倍以上に増加した。これと比較して、マイクロソフトのXbox OneやソニーのPlayStation 4といった他の有力ゲーム機は、25%増加している。
スイッチの売上が急増した大きな要因としては、3月20日に大人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」が発売されたことが挙げられる。
「あつまれ どうぶつの森」は、島で他のゲーマーと交流しながらアイテムを集めていくソーシャルシミュレーションゲームで、発売後6週間で1300万本以上を売り上げ、Switch史上最速のセールスを記録した。
ゲーマーのNick Fiondella氏は、ライブ配信プラットフォームのツイッチ(Twitch)で17万人以上のフォロワーにストリーミング配信しながら「あつまれ どうぶつの森」をプレイしている。彼は、このゲームの人気が高い理由の一つとして、「スーパーカジュアル」なゲームでありながら、ゲーム内で他のオンラインプレイヤーと出会う機会が多く、リラックスできることを挙げている。Fiondella氏によると、この点が、筋金入りの任天堂ファンだけでなく、よりカジュアルなプレイヤーにもアピールしているという。
「『あつ森』はロックダウンが始まった時に発売されたが、ゲーマーでなくても楽しめるゲームです」とFiondella氏は語る。
WE DID IT!!!!!!! BILL AFTER 80 ISLANDS, MY FAVORITE GAMECUBE VILLAGER LETS GO!!!!!!!!! pic.twitter.com/tGZ4DCmqEW
— FireDragon (FiFi) (@firedragon) April 30, 2020
実際には、「あつ森」のような社会的な相互作用を含む仮想の「世界構築」ゲームは、コロナウイルスのパンデミックのようなストレスの多い時期には特に魅力的なものになる。心理学の教授が以前CNBCに語ったところによると、このようなタイプのゲームは、プレイヤーが長期間物理的に隔離されたままであっても、仮想的に社会化を続けることを可能にし、また外界のストレスからの逃避を提供してくれるという。
もちろん、任天堂のSwitchは、コロナウイルスが流行り、「あつ森」が出てくる前から、すでにゲーマーに人気があった。2017年にSwitchが発売されて以来、3月末時点で累計5500万台以上のゲーム機が販売されており、Switchは任天堂のブランドを再活性化させると同時に、同社がソニーやマイクロソフトとのゲーム顧客獲得競争を有利に進めることを可能にしている。
しかし、Switchでしか遊べない「あつ森」への関心の高さに加え、隔離期間中に屋内での活動を必要とする人が増えたことで、Switchの需要が急増したことは間違いない。
実際、多くの小売業者で完売したようにSwitchの販売は急速に伸びた。そのため、Switchを手に入れようとするゲーマーは、アマゾン・マーケットプレイスなどのオンラインマーケットで探すことを余儀なくされており、一部のサイトではSwitchの標準価格2万9980円(税抜き)の2倍以上に価格が高騰している。
世界的なパンデミックに起因する業務停止により任天堂のサプライチェーンが混乱し、生産の遅延が発生している。その結果、任天堂はSwitchが売り切れた店舗への再入荷ができておらず、ゲーム機の需要増加を取り込むことができずにおり、苦境に立たされている。
任天堂は6月末までにSwitchの在庫を補充したいと考えで、早くてもそれまでは状況は変わらないだろう。また、日経新聞によると、任天堂は最終的にはSwitchの年間生産台数を20%増の2200万台にする計画という。
出所:CNBC