VR

英ロンドン拠点のハードウェアスタートアップTG0が、SteamVRトラッキングシステムを搭載したVRコントローラ「Etee dev kit」のKickstarterキャンペーンを開始した。同社はコントローラーのボタンのないデザインとフィンガートラッキングを主な魅力と位置付けている。Road to VRが伝えた

TG0はVRコントローラーの開発キットのため、4万5900ポンド(約611万円)を集めることを目標に、EteeのKickstarterキャンペーンを開始した。Etee dev kitには2つのバージョンがあり、1組(両手)200ポンドから始まる3DOFトラッキングと、1組240ポンドから始まる6DOFのSteamVRトラッキングを搭載したものがある。また、高額な支援をした人に対するよりユニークなリワードとして、より高度なハプティクス版や透明カバー版などが用意されている。

TG0は「ボタンは時代遅れの方法である」と言い、Eteeのコントローラのボタンレス、トリガーレス、ジョイスティックレスのデザインと、近接、接触、圧力を検出するフィンガーセンシングを主要なセールスポイントとして謳っている。

これは、ボタンやトリガー、ジョイスティックを使ったゲームやコントローラーが主流となっているVR業界とは対照的である。TG0によると、Eteeはボタンの代わりにジェスチャーをサポートしているという。

バイナリコントロールへの依存をなくすことは素晴らしいことだが、VRゲームの世界では正確で信頼性の高い入力が必要となるため、実際には難しいことが証明されている。

しかし、同社がEteeコントローラーの用途として謳っているのはVRゲームだけではない。もちろん、開発キットとして、モーション入力が必要なアプリケーションであれば、どんな用途にも使いうる。トレーニング、アート、セラピー、ソーシャル、リモートコントロールなど、ハードコアなゲームのような精度を必要としないVRコンテンツであれば、見慣れないボタンやトリガー、スティックで覆われたVRコントローラーよりも、直感的な入力手段としてEteeを活用することができるだろう。

現段階では開発キットではあるが、SteamVR入力システムとの統合により、技術的にはSteamVRゲームとの互換性があると思われる。しかし、ボタンやその他のコントロールをEteeのユニークな入力にリマップする必要があることを考えると、コントローラで本当に遊べるようになるまでには、多くのゲームでカスタムバインディングを試す必要があると予想される。

TG0によると、バッテリーの持ち時間は連続使用で最大6時間、スタンバイ状態で14時間となっており、コントローラーの重量は3DOFバージョンで75g、SteamVR Trackingバージョンで120gとなっている。

EteeのKickstarterキャンペーンは5月11日まで実施されており、同社は早期申し込み者のコントローラーの出荷を2020年12月に開始するとしている。