オーストラリアでオンラインギャンブルの規制を強化する提案が政府から出されたのに対し、有力なスポーツ団体が既存の規制で十分であるとの見方を表明した。World Casino Newsが伝えた。
AFL、NRL、Tennis Australia、Rugby Australia、Football Australia、Netball Australiaなど、オーストラリアで最も影響力のあるスポーツ関係者団体Coalition of Major Professional and Participation Sports (Compps) は、連邦議会が実施したオンラインギャンブル規制に関する調査に対し、個々のスポーツ当局の対応と合わせて既存の広告・放送規制で十分であることを伝えた。
Comppsのエグゼクティブ・ディレクターであるJo Setright氏は、この調査への提出書類で次のように述べている。
「ギャンブルやライブオッズへの過度な言及や、子供を含む視聴者がギャンブルの宣伝に過度にさらされることなくスポーツを観戦したいという公共の利益と、賭博事業者が社会的責任をもって自社製品を宣伝する権利との間で、現行の取り決めは正しいバランスを保っている。放送局の広告収入モデルに影響を与えるような措置は、(我々の)メンバーが草の根活動や試合展開などの資金源にしているスポーツのメディア権の価値に影響を与える可能性がある。」
また、ギャンブルとの提携により生み出された収益によって、スポーツクラブは法的遵守等のインテグリティ部門を設置すること、その他の運営上の優先事項を実行することが可能になったと強調。オンラインギャンブル規制強化によって、スポーツの整合性保護プログラムの維持などに充てられる資金はどこから調達するのか認識する必要があると指摘した。
オンラインギャンブルの規制強化の必要性が高まっているとの見方を否定する団体がいる一方、いくつかのクラブや人気アスリートが現行のギャンブル広告規制に懸念を表明している。
議会調査の責任者である労働党のペタ・マーフィ議員は、次のように述べている。
「Comppsの声明は、コミュニティの感情に沿ったものではありませんでした。また、専門家からも、ギャンブルの増加やギャンブルの害の増加について、いくつかの証拠を得ています。」
過去数カ月の間に、NRLクラブのSouth Sydney RabbitohsとCanterbury Bulldogsなどのクラブやアスリートが、ギャンブルがスポーツの不可欠な一部と見なされるようになっていることへの危惧を表明している。前述のクラブは、グラウンドサインやビッグスクリーンでのベッティング広告を禁止し、すべてのクラブジャージーのスポンサーシップから手を引くと発表した。
RabbitohsのチーフエグゼクティブであるBlake Solly氏は、「クラブは、スポーツ賭博の広告にさらされるコミュニティを減らすために、Reclaim the Gameキャンペーンをサポートし続けています。」と話している。
ビクトリア州責任あるギャンブル財団の報告によると、2021年にビクトリア州の無料放送テレビで1日に放送されたギャンブル広告の平均数は948件だった。
オーストラリアは、ギャンブルによる損失が世界で最も多く、1人当たり年間約1276ドル、問題のあるギャンブラーは2011年の0.6%から2019年には1.23%に増加している。
オーストラリア政府は先月、すべてのギャンブル会社に対し、広告には「Chances are you’re about to lose.”(あなたは負ける可能性があります)」などの警告文を盛り込むことを義務付ける計画を発表している。