2024年03月19日

日本のIR(カジノ)誘致はどうなる?これまでの動きとこれからの流れ

日本のIR誘致はどうなる?これまでの動きとこれからの流れ

この記事では、カジノ法案の成立から今後のカジノ開業に至るまでの流れと、どんなカジノができるのかなどについて詳しく解説しています。いつごろどこにカジノができるのかといったことについても考察していますのでぜひ参考にしてくださいね。

 

カジノ法案ってどんな内容?
カジノ法案と呼ばれている法律は、IR推進法の通称です。正式名称は「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」というものですが、一般的にはIR推進法やカジノ法案と呼ばれることが多いです。

カジノ法案と呼ばれるので誤解しやすいですが、IR推進法は単に「カジノを作ろう」という法律ではありません。IRとは、Integrated Resortの略称で、統合型リゾートと訳されます。統合型リゾートは、ショッピングモールや映画館、展示場、宿泊施設、アミューズメント施設、レストランなどが一体となった施設のことで、その名にカジノが含まれているものになります。大きなリゾート施設の中にカジノが楽しめるスペースがあるIRを作っていこうとする大枠となる法律がIR推進法です。

IR推進法は、IR作りのための基本方針を定めた法律で、すでに2016年の12月に成立しています。

IR(統合型リゾート)をつくる目的とメリット・デメリット

カジノを含んだIR(統合型リゾート)を作る最大の目的は、外国人観光客を呼び込んで日本の経済を回していくことです。近年では外国人観光客が増加傾向にありますが、カジノを新たな観光資源としていこうというのがIRを作る目的です。

IR(統合型リゾート)開設のメリット
・経済効果
IRが開設されることで最も期待できるメリットは、莫大な経済効果です。外国人観光客が増えることによる観光収入の市場規模は1兆円以上だと言われていますので、経済成長の起爆剤として期待されています。

・雇用機会の増加
大型の施設ができるということは、それだけ多くの雇用が創出されるということでもあります。カジノだけでなくさまざまな施設が含まれるIRならたくさんの従業員が必要になり、雇用の機会が増えます。

・インフラ整備による地域の活性化
大きな遊園地ができればそこへ向かうための鉄道や地下鉄といった交通手段が整備されるのと同様に、IRの開設が決まればその周辺の交通手段が整備され、地域の活性化につながります。IRをきっかけにして観光客が周辺の地域へと足をのばす動きも期待できるでしょう。IRができることは、その施設自体や施設がある地域だけでなく周辺地域への経済効果も期待できるのです。

IR(統合型リゾート)開設のデメリット
経済的に大きな効果が期待できるIR開設には、デメリットも指摘されています。デメリットの多くはリゾート施設全体ではなく、カジノの設置に対するものが多いです。

・ギャンブル依存症の増加
カジノは言うまでもなくギャンブルです。ギャンブルにはまりすぎると、借金をしてでもギャンブルをし、結果として貧困になるといった悪循環が生まれます。日本に住む人は、収入によって税金の額が変動します。そのため日本在住の外国人も含めて、日本に住む人がギャンブル依存症になると国の税収が減りますので、ギャンブル依存症の人が増えることは望ましいとは言えません。

・治安の悪化
特に日本においては、ギャンブルにあまりよいイメージを持っていない方が多いです。反社会勢力が関与するのではないかといった不安があり、カジノ周辺の治安が悪化する懸念があります。

・マネーロンダリングの温床になる恐れ
マネーロンダロングとは犯罪行為などで不当に手に入れたお金を移動して出どころを分からなくすることを言います。これはカジノと犯罪者がグルになっているということではなく、対策不足のままカジノがオープンしてしまうと、はからずもマネーロンダリングの場所として利用されかねないということです。

日本にはどんなカジノができる?

カジノは競馬などの公営ギャンブルとは異なり、運営する事業者は民間企業です。しっかりと全体的に管理ができるよう、カジノだけでなくIR(統合型リゾート)全体を、認可を受けた企業が運営することになっています。
将来的に日本にカジノができるとして、ギャンブル依存症の増加や不透明なお金の動きなどが起こらないような対策が取られることになっています。

入場料と入場制限
観光で日本に来ている外国人にはカジノへの入場料はかかりませんが、日本人や日本に住んでいる外国人がカジノを利用する場合には6,000円が入場料として徴収されます。

外国のカジノでは入場が無料のところもありますが、シンガポールでは8,000円ほどかかります。日本はその中間の設定となっています。高めの設定であるのは、日本に住む人がギャンブル依存症とならないようにするためのものです。

また、週3回、月10回までという回数制限も設けられています。
入場はマイナンバーカードの提示で管理される予定です。もちろん暴力団などの反社会勢力や20歳未満の人は入場できません。

施設数は3つ
カジノの開業が認められるのは全国で3か所までとなっています。カジノの数は最初のカジノ開業から7年後に見直しがされる予定です。

最初のカジノ法案である「IR推進法」はすでに2016年に12月に成立し、カジノを作るための大枠の流れは決まりました。その後、カジノ運営にあたっての具体的なルールを定めた「IR実施法」が2018年に成立しています。また、ギャンブル依存症対策が盛り込まれた法律や、カジノ事業者の監督、カジノ事業免許の審査、カジノゲーム関連機器の監督など、実際のカジノ運営に関わる業務を統括する組織も発足しています。

カジノはいつできるの?現在の状況は?

今後の流れとしては、政府によって、IR設置にあたっての基本方針が決められ、それをもとに各自治体がIR開業に対する準備をすすめていくことになっています。もともとこの基本方針は2020年の1月に発表される予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で現在は延期されています。

基本方針の決定後に、IRを設置する場所が決まり、選ばれた各自治体は協力してIRを開発するIR事業者を選び、本格的なIR開発が始まります。

実際にIR開発に着手するまでの進捗具合で言えば60%といったところでしょうか。

カジノのオープン時期は、期限が決められているものではありません。元々は2025年ごろの見通しでしたが、現在は政府の基本方針発表の時期が未定であるため、オープン時期も予想がつかない状況です。

カジノができるとしたらどこに?どんな企業が運営する?

カジノを含めたIRは、国が指定した場所につくるわけですが、前提としては地方自治体が建設を希望していなければなりません。オリンピックの誘致を日本が行ったように、カジノを含めたIRの誘致を各地方自治体が行うことになります。都道府県などの各地方自治体が民間事業者と整備計画を作り、国から認定を受けるという流れになっています。

現在のところカジノの誘致に積極的なのは、神奈川県横浜市、愛知県名古屋市、大阪府大阪市の人口島である夢洲、長崎県のハウステンボスなどです。しかし、自治体としてカジノを誘致したくても地域住民の反対などで断念する場合も出てくるでしょう。

いずれにしてもカジノを含めたIRの運営は、自治体が直接行うものでありませんので協力してくれる企業が必要です。日本の企業にはカジノを運営するノウハウはもちろんありませんので、基本的にはマカオやシンガポール、ラスベガスなどの海外でカジノを運営している外資系の企業とタッグを組むことになると考えられます。

まとめ

IR(統合型リゾート)を巨大なカジノ施設と考えていた人も多かったのではないでしょうか。実際は施設全体の5%未満の広さになるように定められており、リゾート施設の一部分に過ぎません。超高齢化社会で人口減少が始まっている日本にとって、カジノを含めたリゾート施設を作ることで外国人観光客を呼び込むのは日本の経済にとって大きな意味があると言えるでしょう。

少し前にはIR担当の内閣府副大臣だった秋元議員が、IR事業への参入を目指していた中国企業から賄賂を受け取ったとされ、逮捕されるという事件がおきています。そのためIRへのイメージが悪い方に傾きつつありますが、IR自体に問題があるわけではありません。むしろこの事件が明るみになったことで、IRにより誠実な運営が求められるようになるとプラスに捉えることもできます。

新型コロナウイルスの影響などで、カジノが出来るまではまだしばらくかかりそうですが、完成が楽しみですね。