2024年04月26日
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豪カジノSCAの裁判資料を監視団体が公開、業界不正の解消目的で

金融犯罪を監視するオーストラリア取引報告分析センター(AUSTRAC)は、豪カジノのスカイシティ・アデレード(SCA)の不正行為に関する裁判資料を公開した。顧客が犯罪組織と繋がりのある人物と知りながらカジノで遊ばせていたなどと指摘している。この動きはカジノ業界のコンプライアンス改善の一環。ABC Newsが伝えた。

AUSTRACは、カジノ業界全体のコンプライアンス・プログラムの一環として、昨年からカジノの調査を強化している。

公開されたのはAUSTRACがカジノ運営会社SCAに対して行った民事訴訟の一環として、連邦裁判所に提出された文書。
AUSTRACはオーストラリアのマネーロンダリング防止法およびテロ資金対策法の重大かつ体系的な不遵守の疑いで、訴訟を提起している。

裁判資料には、スカイシティが「124人の顧客に対してデューデリジェンスを実施しなかった」とあり、20億ドル以上の罰金につながる可能性のある法律違反であることが記されている。組織犯罪、高利貸し、人身売買、性売買斡旋等とつながりのある顧客の概要が記載されている。

文書によると、カジノは2016年12月から顧客124人から合計40億ドルを売上げ、顧客による損失は約7400万ドルだったとしている。

文書の中でAUSTRACは次のように指摘している。
「SCAは、顧客の一部が、犯罪収益の取引やマネーロンダリングを含む犯罪に関連して起訴または逮捕されたことを認識していた。そして、一部の顧客が組織犯罪に関係していること、あるいはその資金源や富の源泉が合法的でない可能性を示唆する情報を知っていた」

AUSTRACの請求書には59人の顧客の事例が概説されており、その中には一時期職業が「食肉加工業者」とされていた人物もいた。

「顧客29」と呼ばれる人物は、4年間でカジノで8500万ドル以上の売り上げを記録し、カジノのスタッフには、最近ビジネスと家を売ったと言っていた。しかしAUSTRACは、この顧客の両親の1人と兄弟2人が、2009年にヘロインの販売と供給で有罪判決を受けたと指摘。その3人の家族もSCAの会員であったという。SkyCityは2021年3月、この顧客を出入り禁止にしている。

文書で紹介された顧客の多くは、ジャンケットによって参加していた。

AUSTRACは、ニューサウスウェールズ州とクイーンズランド州にカジノを所有するStar Entertainment社に対しても、同様の訴追を開始している。

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