香港本拠のギャラクシー・エンターテイメントと米ラスベガス拠点のMGMリゾーツ・インターナショナルは、タイでのカジノリゾート開業の可能性を探っている。マカオ事業が悪化するとの見通しに対する対策という。World Casino Newsが伝えた。
両社ともにマカオ事業の見通し悪化に対して、新たな市場への進出と存在感を広げる動きを見せている。かつてマカオはラスベガスのゲーム収益の6倍を生み出し、史上最高のリターンを提供していた。
この件について、情報筋は「ギャラクシー・エンターテイメントとMGMリゾーツは、カジノリゾートを開設する可能性を研究している。億万長者の呉哲玉氏が管理するゲーム、小売、ホスピタリティグループであるギャラクシーの方は、UAEでのゲーム事業の可能性も探っている」と語った。
中国はマカオをギャンブルからエンターテイメントへとシフトさせることを目指している。そのため、マネーロンダリングを疑われているハイバリュープレーヤーに厳格な制限を課し、ギャンブル活動への監視を強化した。
中国がマカオの国境を再開したことで、観光ブームが起こり、マカオのゲーム利益が5月にはコロナ前のレベルの約60%まで回復した。
しかし、今後、抑制されていた需要が沈静化し、飛行機の運航本数が増加することで中国人が大量に海外に出る可能性があり、これが観光ブームを下げる要因となる可能性がある。さらに、VIPギャンブラーが占めるゲーム収入の半分を埋めるために、多くの非ゲームのアトラクションやイベントを追加するには何年もかかるだろう。
ギャラクシーとMGMは、タイとUAEが近年カジノを合法化する可能性が高いと認識しており、その観点を優位に使いたいと考えている。
ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、アンジェラ・ハンリー氏によると、タイは「世界のトップ観光地で、特にアジアの他の国からの観光客に人気がある。パンデミック前は、中国人が最大の訪問者グループで、総外国人到着数の約28%を占めていた。その後に続くのはマレーシア人とインド人だ。一方、UAEは年間最大66億ドル(約9200億円)のゲーム収入を生み出し、最終的には有名なマリーナベイサンズリゾートがあるシンガポールを超える可能性がある」。
さらに「ギャラクシーは既にタイとUAEにオフィスを設け、地元の情報を収集するための基盤としている。MGMは、ドバイのエンターテイメントリゾートの管理を予定しており、タイに拠点を設けた。また、カジノの合法化を検討しているタイの議会委員会と話し合った企業の一つである。これらの議論は、5月の総選挙前に行われた。新政府がどのような法律を施行するかはまだ不明だが、カジノリゾートを数か所設けるという委員会の提案は、1月に下院で承認された。」という
しかし、ギャラクシーの代表者は会社の計画についてコメントを控え、MGMはタイに主要なオフィスを持っておらず、委員会と話し合ったこともないと、会社の広報担当者が述べているという。
ラスベガス・サンズは何度もタイへの興味を示してきた。その点について、CEOのロバート・ゴールドスタイン氏は1月の収益発表電話会議で、「グループはその国をしっかりと見ており、市場で存在感を持ちたいと強く望んでいる」と話していた。
新たな市場への進出は、タイとUAEがカジノを合法化するかどうかだけに依存している。しかし、業界は既にその変化が起こることを予測している。また、タイはまだ指導者の交代期にあるものの、カジノリゾートの提案は既に全党派の支持を得ており、新政府により正式に承認される見込みだ。
UAEについては、過去一ヶ月間にギャンブルの合法化についての初期の議論が国内で行われ、一部の運営者が当局と非公式の会談を持っている。しかし、高級政府職員は「この娯楽を許可する計画はまだない」と話している。