フィリピンのオフショアギャンブル事業者(POGO)には、売春や誘拐、マネーロンダリングなどの犯罪の温床になっているという指摘や、不当な労働環境で働かせられる中国人が多いことに対し中国がPOGOを規制するよう圧力をかけているなどの問題がある。ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、POGOが抱える諸問題への批判を受けた上で「POGOを営業停止などにはしない」との声明を発表した。POGOは雇用と税収の重要な源泉となっている。CalvinAyreが伝えた。
大統領のスポークスマンであるサルバドール・パネロ氏によってメディアに伝えられた声明の中で、ドゥテルテ大統領は、POGOを「一時停止も(完全)停止もしない」と発表した。大統領の決定はフィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)からのフィードバックに基づいたものだ。
POGOの継続が許可される理由にはPOGOがもたらす資金にある。フィリピンは「POGO事業からの資金を必要としている」とパネロ氏は書いており、過去3年間で170億ペソ(約352億7000万円)の収入があったと発表している。「資金を必要とする多くのプロジェクトがあります」と彼は結論付けた。
このPOGO業界を徹底的に調査することを要求している上院議員が複数人いる。 リサ・ホンティベロス上院議員は、POGOの採用慣行で起こりうる、入国管理局での汚職(フィリピンのパスポートの贈収賄および販売の可能性)を調査してきた。一方、リチャード・ゴードン上院議員は、POGO業界が中国の資金を密輸したり洗浄したりする前線として使用されているのかを質問するために、外貨両替取引で撃たれたPOGO労働者の悲劇的な死を引用した。彼はまた、POGOの関与した資金がスパイネットワークの確立を支援するために使用される可能性があると疑っている。
POGOのサポートを継続するというドゥテルテ大統領の決定は、かなり理にかなっている。それは国の経済的推進力であり、上院議員が見つけた多くのスキャンダルよりも多くの、正直なPOGOビジネスも存在する。また、PAGCORは、司法省(DOJ)と協力して、マネーロンダリングやその他のサイバー犯罪と戦うために、業界をクリーンアップしようとしている。
ドゥテルテ大統領がPOGOに対する支援を表明したのに対し、ゴードン上院議員はマネーロンダリングに関与している可能性があるのを無視して決定を下すべきではなく、大統領に再考するよう求めている。