カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致をめぐり、和歌山県の住民らが反対組織「ストップ!カジノ和歌山の会」をこのほど発足させた。2月29日に開いた集会では、参加者らが「一攫千金は夢のまた夢。カジノは〝麻薬〟で生活をだめにする」と訴えた。わかやま新報が4日伝えた。
集会で講演した静岡大学人文社会科学部の鳥畑与一教授は、和歌山県が近接する大阪と共にIR誘致を目指し相乗効果を狙う姿勢を見せていることに対して言及。「近いIRを渡り歩くという声も聞くが、客を囲い込むのがカジノ。違うカジノ企業が経営しているところは渡り歩けない」と指摘した。また、「IRはカジノでもうける施設。地元で使われるはずだったお金が吸い取られるだけだ」と強調した。
一方で、IR誘致に賛成する声もある。女性経営者ら3人の有志による「県に統合型リゾート(IR)の誘致を応援する会」は先月、IRの誘致に賛同する署名を4164筆集め、仁坂吉伸知事に提出している。代表の田原サヨ子氏は、IRは県経済に貢献し、地元雇用を促進するため、県と市の活性化に必要な取り組みだと述べている。
和歌山県は2月20日に公表した「実施方針案」で、和歌山IRの構想について「Sports&Wellness をコンセプトに掲げ、オーシャンフロントの立地と自然や温泉、食文化など和歌山県が有する豊富な資源を生かし、多様なマリンアクティビティとも連携することで、海洋リゾートの魅力を存分に発揮し、都市部では体験できない自然志向の楽しみと癒やしを提供」すると説明。また、関西圏、伊勢湾、紀伊半島、四国圏の観光資源をつなぎ、巡礼や食文化といったストーリー性を持つ新たな観光街道を形成を目指すとして、大阪や横浜の都市型IRとは違うリゾート型IRの構想をアピールしている。
現時点で和歌山県へのIR参入を目指しているカジノ事業者には、仏カジノ大手「グループ・バリエール」、マカオを中心にカジノ事業を手がける「サンシティグループ」、フィリピンのIR事業者「ブルームベリー・リゾーツ」がいる。IAGによると、ブルームベリー・リゾーツは30億ドル〜40億ドル(約3220億円〜4296億円)の投資を視野に入れているという。これは大阪の投資額、約9000億円のおよそ3分の1となる。